8対2の法則。この単純な数字が示す真実を、私たちは受け入れたくない。なぜなら、それは私たちの努力の8割が「無駄」だと宣告するからだ。もしあなたが本当に価値のある2割に集中できたら? 今の5倍の成果を出せる可能性がある。これは理論上の話ではない。実際に、少数精鋭で高収益を上げる企業が増えている。

問題は、その2割を見極める勇気があるかどうかだ。多くの人は、8割を捨てることを恐れる。「もしかしたら、その中に重要なものがあるかも」と。しかし、この「もしかしたら」こそが、私たちを凡庸に留める最大の要因だ。

AIの登場により、ゲームのルールは完全に変わった。定型的な仕事、データ処理、基礎的な分析──これらはすべてAIが人間を上回る。この流れは止まらない。

では、人間に残された価値とは何か?それは「判断」「創造」「共感」だ。つまり、人間にしかできない2割の仕事こそが、これからの時代の主戦場になる。今こそ、「忙しい」という麻薬から抜け出す時だ。本当の価値創造は、余白から生まれる。

尾藤 克之(コラムニスト・著述家)

22冊目の本を出版しました。

「読書を自分の武器にする技術」(WAVE出版)