リテールの未来を共創する共創型の実証実験拠点

 ムスブ宮若では、具体的にどのような取り組みを実施しているのか。

「ムスブ宮若は、当社の研究・開発拠点という位置づけであると同時に、複数のパートナー企業とともにリテールの未来を共創する共創型の実証実験拠点としても機能しており、メーカーや卸売企業など、現在約50社が1カ月に1回『MUSUBU AI』にて共にDX戦略やAI研究、リテールテックの開発・実証実験を進めています。

 この共同実証の場では、当社が保有する顧客購買データを活用し、棚割の最適化やショッパーマーケティング、カテゴリーマネジメントに関する検証が行われています。そこで得られた技術やアイデアは、当社が展開する最先端スマートストア『スーパーセンタートライアル 宮田店』などで即時に検証・改善される仕組みが整っており、データによって導き出された好事例は実店舗へと反映されています。

 ムスブ宮若は、個社の利益にとどまらず、日本の流通全体を変革するための共創フィールドとして、多くの企業とともに新たな価値創出に取り組んでおります」

 同プロジェクトでは、どのような成果が出ているのか。また、トライアルHDの小売事業にどのように活用されているのか。

「企業の垣根を越えた実証実験と学び合いを通じて、具体的な成果が生まれています。なかでも、メーカーや卸売企業が月に一度宮若に集まり、データを活用した商品開発や販売戦略を検証する実証活動は、プロジェクトの中核的な取り組みとなっています。具体的な成果についてはそれぞれメーカー・卸様の内容となりますので、弊社からは回答できかねますが、当社の小売事業においても『データに基づく売場づくり』など、さまざまな形で活用されています。『ムスブ宮若プロジェクト』は、新しい小売の在り方を実践する共創の場として、今後も進化を続けてまいります」

(文=BUSINESS JOURNAL編集部)