アルビレックス新潟は2024年のルヴァン杯で決勝に進出し、クラブ史に残る快挙を成し遂げた。決勝では名古屋グランパスを相手にPK戦の末惜しくも敗れたものの、準優勝という結果は過去のクラブ成績を大きく上回るものだった。

大会を通じて守備と攻撃のバランスが冴え、一発勝負の舞台で強さを発揮した。クラブとしては国内主要カップ戦の決勝進出は初めてで、満員の国立競技場で迎えた決勝戦はサポーターにとっても忘れられない瞬間となった。

しかし同年のJ1リーグ戦では思うように結果を残せず、最終順位は16位と残留争いに巻き込まれた。カップ戦での躍進とリーグ戦での苦戦が対照的に並び、チームの課題が浮き彫りになったシーズンだったと言える。

迎えた2025年も状況は改善されていない。DFトーマス・デン(現横浜F・マリノス)やFW小見洋太(現柏レイソル)ら主力の流出に加え、相手チームからの徹底的な分析によって攻撃の形が封じられ、得点力不足が深刻化。さらに守備面でも安定感を欠き、下位に沈む苦しい戦いが続いている。

新潟の場合、2024年も残留争いをしていたため、大分や湘南、柏のように「カップ戦制覇の翌年に低迷した」というケースとはやや異なる。ただし、カップ戦での勢いをリーグ戦につなげられなかったという点では、共通する課題を抱えていると言えるだろう。

2025年の新潟は、一発勝負での勝負強さを、いかにリーグ戦の長丁場で再現できるかが問われている。前年のルヴァン杯で示した可能性を本物の力として定着させられるのか、それとも「一過性の輝き」で終わってしまうのか。クラブは今まさに正念場に立たされている。


Jリーグ 写真:Getty Images

リーグ戦で問われる総合力

カップ戦での輝きを放ちながら、リーグ戦で苦戦するクラブは少なくない。短期決戦では勢いやチームの一体感が勝敗を左右する一方、長期にわたるリーグ戦では戦力の厚みや戦術の継続性、さらには怪我人への対応力など総合的な力が求められる。