真犯人は「高さ30メートルの水の壁」

 しかし、科学はついに、その謎を解き明かす最も説得力のある答えにたどり着いた。その鍵を握るのは、「三角波」として知られる、突発的で巨大な波の存在だ。

 イギリスのドキュメンタリー番組でこの説を提唱した、サウサンプトン大学の海洋学者サイモン・ボクソール氏によれば、バミューダトライアングルの地理的条件は、巨大な嵐が衝突するのに最適な場所だという。

 北から、南から、そしてフロリダ方面からやってくる巨大な気象システムがこの海域で衝突すると、高さ30メートルにも達する、まさに「水の壁」とも言うべき三角波が、何の前触れもなく突然発生することがある。この怪物のような波は、巨大な船を一瞬で飲み込み、低空飛行する航空機さえも叩き落とすほどの、圧倒的な破壊力を持っているのだ。

バミューダトライアングルの謎、ついに解明か? UFOでもアトランティスでもない、その恐るべき“真犯人”の正体の画像3
(画像=イメージ画像 Created with AI image generation (OpenAI))

統計が示す「不都合な真実」

 さらに、もう一つの重要な事実が、このミステリーの核心を突いている。それは統計データが示す「不都合な真実」だ。

 1975年に出版された『バミューダ・トライアングル・ミステリーの解決』の中で、著者のラリー・クーシェは、有名な失踪事件を徹底的に調査。その結果、多くの報告が誇張されていたり、不正確であったり、あるいは全くの作り話であったことを突き止めた。

 そもそも、この海域は熱帯性暴風雨やハリケーンの通り道であり、事故が起こりやすいのは当然だ。加えて、世界で最も海上・航空交通が激しいエリアの一つでもあり、確率的に事故の発生件数が多くなるのは必然なのである。

 事実、2013年に行われた「世界で最も危険な航路」の調査において、バミューダトライアングルはリストにさえ入っていない。対照的に、「アラスカ・トライアングル」と呼ばれる海域では、2万人以上が行方不明になっているが、こちらが超常現象と結びつけられることはほとんどない。