各店の地道な努力
では、インバウンドを多く惹きつけている要因は何か。
「もともとパルコはニッチなものを見つけて紹介をするというのが強みでしたが、今の渋谷パルコは“グローバル・ニッチ”を魅力の一つになっています。単なるニッチではなく、世界を視野に入れたニッチです。例えばラジコンカーのお店が入っていますが、ラジコンカーにはコアなファンが一定数おり、日本人であれば小学校の頃にラジコンカーで遊んでいた50~60代がターゲットになりますし、海外にも日本のラジコンカーのファンはおり、世界で見ると大きなマーケットなんです。『シルバニアファミリー』のショップもありますが、“シル活”という言葉があるように、シルバニアファミリーも国内のみならず海外でも人気が上昇しており、購入している客層の2割程度が13歳以上といわれています。大人が購入して写真を撮ってSNSにアップしたりして、人気がグローバルに広がっていきそうな雰囲気になっているんです」(岩崎氏)
インバウンドの集客を意識した、入居するお店自身の努力も功を奏しているという。
「小さな領域を扱っている専門店は、世界に向けて売っていかないと存在できないという意識を持っており、各店が自発的にグーグルマップ上での口コミの評価を上げるような地道な努力をコツコツ重ねています。例えば地下1階の『Jikasei MENSHO』というラーメン店は、グーグルマップの口コミが3000件近くついて4.8という高い評価を得ています。コメントをみると、海外の人たちがすごく褒めています。
このようにグーグルマップ上でたくさんの人たちにコメントをもらえるような情報発信も一生懸命に行い、それを見た海外の人たちが“評判が良さそうだ”“面白そうだ”ということで来るようになる。そういうお店が渋谷パルコにはたくさん入居しているので、もしかしたらインバウンドの方々は、そこがパルコかどうかは意識しておらず、面白そうな店があるから、そこを目的に来て、結果的に渋谷パルコ全体の外国人客の増加につながっているのかもしれません」(岩崎氏)
(文=BUSINESS JOURNAL編集部、協力=岩崎剛幸/経営コンサルタント、ムガマエ株式会社代表取締役社長)