チームは、身長に影響を与えることで知られる数千の遺伝子変異と、疾患に関連する1000以上の形質をマッチング。
それにより、身長ごとに発症しやすい疾患の特定に成功しました。
先行研究では、50程度の形質としかマッチングできておらず、今回は同種の研究として、最大規模のものです。
ちなみに、被験者の平均身長は176センチで、身長の高低を分ける基準ラインとなっています。

その結果、遺伝的に心房細動や静脈瘤、慢性静脈不全(脚の静脈が損傷し、血液が正常に流れない状態)になりやす人や、皮膚や骨の感染症、末梢神経障害と呼ばれる四肢の神経損傷を起こしやすい人たちは身長が高い傾向にあることが判明しました。
一方で反対に、身長が高い傾向の人は高血圧、高コレステロール、冠動脈疾患などの心血管疾患の遺伝的リスクは低いということも判明しています。
これは病気のリスクに関する遺伝データの傾向と、身長の高さに似た偏りがあることを示唆しています。
また、サンプル数が非常に多かったため、性別による傾向の違いも確認できました。
それによると、喘息および末梢神経障害は、身長の高い人の中でも、男性より女性に多くあらわれることがわかりました
本研究の成果から、チームは「身長が、成人男女におけるいくつかの疾患の危険因子となりうる」と結論しました。
しかし一方で、どうして身長の高さが特定の疾患の遺伝的リスクと結びついているかは、まだ明らかにされていません。
チームは、今後の更なる研究で、アメリカ人の他に、ヨーロッパやアフリカ、アジア圏から多くのサンプルを得ることで、身長と疾患の因果関係を解明できるかもしれない、と考えています。
もし、身長の高低によって発症しやすい病気が明確になるならば、前もって予防につとめることができるかもしれません。
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