身長が高いことでかかりやすい病気があるようです。
米ロッキーマウンテン・リージョナルVA医療センター(Rocky Mountain Regional VA Medical Center)が、28万人以上のアメリカ人男女を対象に、身長と病気の関連性を遺伝的に調査した結果、身長が高い人ほど、心房細動(不整脈の一種)や静脈瘤(脚の静脈の異常拡張)、手足の神経損傷などの発症リスクが高い傾向があったという。
この研究は、同種のものとしては最大規模で、信頼性は高い結果のようです。
研究の詳細は、2022年6月2日付で学術誌『PLOS Genetics』に掲載されています。
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- 身長が高い人の「なりやすい病気」と「なりにくい病気」
身長が高い人の「なりやすい病気」と「なりにくい病気」
背の高い低いといった要素は、それぞれ特定の疾患への罹りやすさに関連していることが、以前から研究者の間で指摘されていました。
たとえば、背の高い人は、大動脈破裂や肺塞栓症(血栓や固形物が肺動脈を塞いでしまう病気)になりやすく、背の低い人は、冠状動脈疾患、脳卒中、肝臓疾患、精神疾患などのリスクが高いと言われています。
単純に考えれば、身長が高い人は血液の循環経路が伸びるため、循環器系の疾患に影響が出やすいと推測できます。
しかし、報告される身長差で罹患傾向が異なる症状には、精神疾患をはじめ単純には説明のつかないものも含まれています。
そのためこれらが、身長の生物学的な特性によるものなのか、それとも身長の高低に影響を与える環境因子(栄養失調や社会文化的影響)の結果なのかは、明らかにされていません。
そこで今回、研究チームは、身長の測定値と診断書の単なる比較にとどまらず、臨床記録と結びついた遺伝子データを利用しました。
対象としたのは、アメリカの「ミリオン退役軍人プログラム(Million Veteran Program)」に登録されている計28万人以上の成人男女です。