研究チームは、主に3つの理由を挙げています。
①日常的なストレスの蓄積 外部からの刺激に圧倒されやすいため、毎日少しずつ疲労やストレスが積み重なり、小さなストレスが雪だるまのように重なって、無力感を感じやすくなってしまう。
②感情反応の強さ こうした人は感受性も強いため、喜びを大きく感じる一方で、不安や悲しみも強烈に感じてしまい、気分の切り替えが難しいため、落ち込みが長引きやすく、うつ病のリスクが高まる。
③深く考えすぎる傾向 この特性の人は芸術や自然の美しさに心を動かされる芸術性を持ちますが、物事を深く考えすぎる特性があるため、嫌な出来事を何度も頭の中で繰り返し考えてしまいがちで、結果気分の落ち込みが長引きやすくなる。
ここで大切なのは、敏感さが単なるマイナス要因だけではないということです。
実は、敏感な人ほどポジティブな経験からも大きな恩恵を受けやすいことが分かっています。学校でのうつ予防の取り組みでは、敏感な子どもほど大きな改善効果が見られたという報告もあります。
つまり、環境感受性は「良くも悪くも心の影響を受けやすい特性」と捉えることができます。
また、環境感受性が強い人は芸術活動(音楽や絵画、文学など)において豊かな感受性を発揮できると考えられます。
ここから考えると、芸術活動を行う人ほど、周囲の環境から精神的な影響を受けやすくなる可能性も考えられます。絵を描いている人は不安定な人が多い、という印象があるとすれば、それは今回の研究が示した環境感受性と心の関係が関連しているのかもしれません。
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元論文
The Relationship Between Environmental Sensitivity and Common Mental-Health Problems in Adolescents and Adults: A Systematic Review and Meta-Analysis
https://doi.org/10.1177/21677026251348428