人混みや明るい場所が苦手。こうした人は、光や人の感情に敏感なためだと考えられます。

こうした感覚の鋭さは、性格の一部とも思われがちですが、実は心の健康と深く結びついている可能性があります。

イギリスのクイーンメアリー大学(Queen Mary University of London)らの国際共同研究チームは、世界中の33件・合計12,697人を対象にした研究を系統的にレビューし、うつ病や不安との関連をメタ分析しました。

「光や音に敏感な人ほど、心の病気にかかりやすいのか」。この疑問に正面から取り組んだ今回の研究は、一般の人が抱く日常的な「敏感さ」と精神医学の知見を結びつけるものでした。

研究の詳細は、2025年8月15日付けで科学誌『Clinical Psychological Science』に掲載されています。

目次

  • 3人に1人が人混みが苦手「環境感受性」
  • 敏感な人はうつや不安になりやすい

3人に1人が人混みが苦手「環境感受性」

Credit:canva

人混みや明るい場所が苦手、ちょっとした音でも集中できなくなってしまう。そんな経験はありませんか? 実は、こうした特徴を持つ人は意外と多いのです。

これは「環境感受性」と呼ばれる気質によるもので、外からの刺激にどれだけ反応しやすいかを表しています。

こうしか感覚の敏感さによる個人差は、これまでの研究で「低い(29%)」「普通(40%)」「高い(31%)」という分布になることが分かっています。つまり、3人に1人は人混みや明るい場所など刺激の強い場所が疲れて苦手、という悩みを抱えていることになるのです。

そして、こうした外部刺激への過敏さは、心の不調と関連している可能性があります。

というのも、心の健康と性格の関係については、これまでも多くの研究が行われており、「神経質な人ほどうつや不安になりやすい」といったことは、すでに広く知られているからです。