■それにしても瀬戸市民、ノリノリである

「アニマル除草」に取り組む「朝凪造園株式会社」の代表取締役・丸山洋一氏は、瀬戸市内の62箇所の都市公園指定管理業務を担う傍ら、「急な斜面での除草に動物たちの力を借りては」と考え、これを市に提案。

本来は山の斜面に住んでいるヤギやヒツジたちにとって、人が立っているのも大変な斜面や、木が生い茂って人が入れない場所は、力の見せ所となり得る。

さらに、今まで焼却処分していた刈草は、動物たちの食べ物として栄養となるため、Co2の排出や処分費の削減も期待できるのだ。

アニマル除草隊
(画像=『Sirabee』より引用)

そうした経緯もあり、ヤギやヒツジたちが持っている力と、かわいらしい姿によって、地球に、人に優しい取り組み「アニマル除草隊」が、2021年からスタート。

同年10月より、都市公園の管理事務所がある「陶祖公園」の平地や斜面の一角を柵で囲み、ヤギ3頭・ヒツジ2頭で実験的に除草を行なうことに。

市民、自治会からは大好評で、「毎朝、ヤギは元気かなぁと見ています」「もっとメンバーを増やして、ずっと続けてほしいと思います」「風向きによっては匂いがすることもありますが、人によって感じる、感じない程度です」といった声が寄せられたという。

また、散歩で近くを通った園児たちから「ヤギさーん、ヒツジさーん、頑張ってねー!」というエールも送られているそうだ。

それにしても瀬戸市民、ノリノリである。

■アニマル除草隊の躍進

手応えを感じた瀬戸市では、住宅地内の斜面や高所などの人力による除草に苦労している「緑地」での取り組みに挑戦したいと考え、関係各所や地域住民に相談を行なう。

無事に「人にも環境にも優しい取組みである」と共感を得られ、2022年6月からは実証実験として、緑地でのアニマル除草に成功。

アニマル除草隊
(画像=『Sirabee』より引用)

さらに10月には、效範連区自治協議会および效範連区子ども会主催の「效範連区アニマル除草隊ふれあい体験」が開催される。

こちらでは、朝凪造園株式会社協力のもと、地域の子供たちに、ヤギ、ヒツジと触れ合いながら、アニマル除草のメリットや環境について学ぶ機会を創出し、50組を超える参加者で会場が賑わった。

アニマル除草隊
(画像=『Sirabee』より引用)

子供達によるヤギ、ヒツジへの「命名会(めぇ~めぇ~会)」も行なわれたほか、翌月には市内の小学校の総合学習でアニマル除草を取り上げるなど、様々な面で地域の教育に貢献しているのだ。

そして2025年7月現在(取材時点)では、陶祖公園を拠点としながら、效範連区内2箇所の緑地において、毎年春から秋にかけてアニマル除草に取り組んでいるという。

アニマル除草隊
(画像=『Sirabee』より引用)

今後の取り組みに対する抱負について、瀬戸市の担当者からは「これからも、地球に、人にやさしい取り組みであるアニマル除草を続けられるよう地域と連携し、住民の方々からの理解や協力を得ながら、取り組んでいきたいと考えています」とのコメントが得られた。

アニマル除草隊
(画像=『Sirabee』より引用)

甘えん坊なピコ(顔に茶色混じりの子)とソウタ(体に茶色混じりの子)の姉妹や、ツンデレな性格でご飯のときは暴れん坊なツル…といった具合に、個性豊かなメンバーが勢揃いしたアニマル除草隊。

瀬戸市での成功を足がかりに、全国へ広まっていくかもしれない。