■空気の残量は「10分」
火災発生の第1報が伝えられた際、ビル内に複数名の要救助者が取り残されているとの情報も伝えられていた。そのため、現場では最優先で要救助者の捜索が行われることに。
ただ、救助隊員は空気ボンベを背負って救助活動を行うが、装備時の重量などもあり、ボンベ内の空気が吸えるのは10分ほど。通常は複数名でローテーションをしながら活動を行うという。
今回、殉職した2名は、ビル5階で活動中に天井が一部崩落、6階に避難した後、取り残されたものとみられている。
消防隊の現場到着が午前10時1分、司法解剖による死亡推定時刻が同10時10分頃とみられるとのことだ。
■6階に鳴り響く“死のアラーム”
兼平氏は「ここからが本当に心苦しくなるけど…」としたうえで、現場にいた隊員からの話として「途中で呼吸器のアラーム音が聞こえました、と…」と明かす。
「これは何かというと、タイムリミットが10分しかないわけ。消火活動をしていた小隊長と消防士の方はね、10分しか活動できない。空気呼吸器の残(残量)が減ってきたら、アラーム音で知らせてくれるねん。ピーって鳴るねん。ここを切ったら、本当に退出しないと止まるよっていうアラーム音が…“死のアラーム”って言ったりもするねんけど。このアラーム音が、6階に鳴り響いていたって」と語る。
■「自分の空気の残高って、ずっと見れるねん」
2名は退避しようとしたものの取り残されたとみられ、兼平氏は「逃げ場所がなかったんやろうね。本当に怖い。自分の空気の残高って、ずっと見れるねん。取り残されたら、ずっと見てたと思う。もちろん最後まであきらめずに、何かないかって小隊長と一緒に頑張ったんやと思うけど」と言葉を詰まらせ、「本当、きついよな…」と絞り出すように語る。
「これが本当に憶測でもなく、現場で活動した消防隊員が見たリアルやと思う。マスクを外しても死だし、マスクをつけていても空気が入らない。そういう状況。世の中に本当のことを知ってほしいという思いで、情報を提供してくれて。憶測で消防士の安全体制がどうこうって…。どうにかならんかなって思うけど…」とやり切れない思いをつぶやく。
■「給料約20万」手当はたった…
また「こんな消防士が、皆さんの大切な人を守ってくれる消防士が、給料約20万でな。国会議員は寝ていても200万もらえるって…簡単に言うとな。命の尊さ、難しさって何なんだろうなって」と怒りもにじませる。
「消防士って、火のなかで活動しても(手当が)たった数百円しかもらえない。そういう現状があるっていうところは、皆さんも知ってほしい」とも述べていた。
兼平氏の話に、ユーザーからも「警察、消防、自衛隊、海保など安全を守ってくれてる人たちに国はもっと理解と待遇改善をしてほしい」「涙が止まらないです。隊長の話を聞いて給料が安すぎる」「お話を聞いているうちに、涙が溢れてきました。消防士の方たちは、さぞかし悔しかったでしょう」「消防士は(月給)20万円、国会議員は200万円…これが1番心に刺さりました」「ただただ、悲しい。これ、人災やん。決して忘れてはいけない」と怒りの声が。