ローブ教授が提唱する2つの衝撃的な可能性

 もしこの物体が自ら発光しているとすれば、その正体は何なのか。ローブ教授は、2つの可能性を提示する。

** 自然現象説: ** 近くで起きた超新星爆発で生まれた、放射性物質を豊富に含む珍しい破片であるため、自然に放射線を放っている。

** 人工物説: ** 原子力を動力源とする宇宙船であり、前面から放出されているように見えるチリは、長い恒星間航行の間に表面に蓄積した汚れが剥がれ落ちたものである。

 ローブ教授自身は、前者の「自然現象説」の可能性は極めて低いと考えている。そして後者の「宇宙船説」を裏付けるかのように、彼は「3I/ATLAS」が描く軌道の不自然さも指摘する。この物体は、地球と木星に“怪しいほど”接近する軌道を取っており、これもまた、ただの彗星と考えるには不自然だというのだ。

恒星間天体「3I/ATLAS」は自ら“発光”している?―ハーバード大教授が提唱する「原子力宇宙船」説の画像2
(画像=画像は「Unexplained Mysteries」より)

NASAも協力、ついに直接観測のチャンス到来か

 この謎に満ちた訪問者の正体を突き止める、絶好の機会が間もなく訪れるかもしれない。

「3I/ATLAS」は、今年の秋、火星の(天文学的な意味で)目と鼻の先まで接近する予定なのだ。ローブ教授は、この千載一遇のチャンスを逃すまいと、NASAに対し、火星探査機「マーズ・リコネッサンス・オービター」をこの物体に向け、直接観測を行うよう提案した。

 そして、驚くべきことに、NASA側もこの提案に好意的な反応を示したという。「今朝、HiRISE(探査機のカメラ)チームに観測を奨励したところ、彼らは好意的に応じてくれた」とローブ教授は自身のブログで報告している。

 太陽系の外からやって来た、自ら光を放つ謎の物体。それは、地球外生命体が我々に送り込んだメッセージなのだろうか。それとも、我々がまだ知らない未知の天体現象なのか。この秋、火星の周回軌道上から送られてくるデータが、その答えを明らかにするかもしれない。

参考:Futurism、ほか

※ 本記事の内容を無断で転載・動画化し、YouTubeやブログなどにアップロードすることを固く禁じます。