こうした行動が自然下で観察されたことは、将来的な河川管理や保全政策を見直すうえで貴重な知見となるでしょう。

特に南米の熱帯域では、流域開発やダム建設が急速に進んでおり、それに伴う生物多様性の損失が懸念されています。

また、ナマズが登攀を行う詳細な動機・条件や、登る際に作用する筋肉の動きやエネルギー代謝、またこの行動が繁殖行動とどう関係しているのか、といった詳細はまだ明らかになっていません。

今後は、追跡用タグ技術や定点観察の強化を通じて、このナマズの生態をさらに深く掘り下げることが求められます。

小さなナマズが壁を登る姿は、私たちに「まだ知られていない自然のドラマ」が水の中にあること教えてくれるはずです。

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参考文献

Thousands Of Bumblebee Catfish Seen Literally Climbing The Walls For The First Time Ever
https://www.iflscience.com/thousands-of-bumblebee-catfish-seen-literally-climbing-the-walls-for-the-first-time-ever-80468

Moving up in the world: Rare catfish species filmed climbing waterfalls
https://phys.org/news/2025-08-world-rare-catfish-species-climbing.html

元論文

Bumblebee on the rocks: Massive aggregation, migratory and climbing behaviour of a small Neotropical catfish
https://doi.org/10.1111/jfb.70158

ライター

矢黒尚人: ロボットやドローンといった未来技術に強い関心あり。材料工学の観点から新しい可能性を探ることが好きです。趣味は筋トレで、日々のトレーニングを通じて心身のバランスを整えています。