熱波は昆虫にも容赦なく襲いかかります。

ミツバチは比較的順調に生き延びた一方、アブラムシは壊滅的な打撃を受けました。

研究者たちは、極端な気温が昆虫に「大発生」と「全滅」の両方を引き起こすことを確認しています。

これは地域の食物網を崩壊させ、局所的な絶滅につながりかねない現象です。

鳥は減少、小型哺乳類は不妊、「暑さによる絶滅」の仕組み

気候科学者マクシミリアン・コッツ氏(ドイツ・ポツダム気候影響研究所)らの調査によると、熱帯地域では過去70年間で鳥類の個体数が25〜38%も減少していたことが明らかになりました。

なぜ熱帯がこれほど深刻かというと、もともと多くの種が耐熱限界近くで暮らしているためです。

さらに「危険な猛暑日」が過去に比べて10倍以上増えており、影響が加速しています。

鳥が直接死ぬだけでなく、巣や卵が高温にさらされ、餌となる昆虫も死滅するため、多層的に個体数が減少しているのです。

研究チームは、伐採や農業などの人間活動以上に「熱波」が鳥の減少を押し進めていると結論づけています。

さらに南アフリカ・プレトリア大学の進化生物学者PJジェイコブス氏は小型哺乳類に注目しました。

実験室で熱波を再現し、アフリカ産の齧歯(げっし)類を調べたところ、オスのテストステロン値が大幅に下がり、生殖機能が障害されていたのです。

これは繁殖力の低下につながり、長期的には個体群の縮小を引き起こす恐れがあります。

また、極端な暑さの中で動物たちは活動を制限せざるを得ません。

採餌や繁殖に割ける時間が奪われるだけでなく、体温が限界を超えると脱水や脳機能の障害を招きます。

ジェイコブス氏は「脳は体の司令塔です。脳が正常に働かなくなれば、サルは木から落ちるのです」と説明しました。

これは比喩ではなく、実際に世界で起きている現象なのです。

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参考文献

Monkeys falling from trees and baking barnacles: how heat is driving animals to extinction
https://www.theguardian.com/environment/2025/aug/20/monkeys-falling-trees-baking-barnacles-heat-driving-animals-extinction-climate