今回の研究によりマインドワンダリングの“質”と“起こり方”次第では心の不調に直結しうることが明らかになりました。

特に、自分ではコントロールできない形で思考があちこち飛んでしまう傾向は、反すうや心配といった「ぐるぐる思考」を助長し、メンタルの苦痛を増幅させてしまうという負の前後関係が示されたのです。

言い換えれば、何気なく心がさまよう瞬間に、過去の後悔と未来の心配という負の連鎖が起こり、自分を否定する思考に囚われていることがあります。

しかし裏を返せば、これらの発見は新たな対策のヒントにもなります。

マインドワンダリングそのものを無理になくそうとする必要はありません。

むしろ、もし状況的に「ぼんやり考え事」をせざるを得なくなっても、早い段階で自分が反すうや心配のループにハマっていることに気付き、それを途中で切り上げるよう意識することが大切だと示唆されました。

例えば、意識的に体を動かしたり、他の作業に集中を切り替えることで、『負のぐるぐる』から上手に抜け出す工夫が効果的かもしれません。

逆に、自分でコントロールできる形のマインドワンダリング、言わば「意図的なおしゃべり思考」を増やすことは、心配傾向を緩和し創造性を刺激する可能性が示唆されています。

ぼんやりと空想にふける時間も、その正体を理解して上手に付き合えば、心の健康や生産性を上げるヒントに変わるかもしれません。

この知見の社会的インパクトは大きいと研究者らは述べています。

誰もが日常的に経験する「心ここにあらず」の瞬間を、これからは単なる注意散漫ではなくメンタルケアのチャンスとして捉えられる可能性が開けたからです。

研究チームは、マインドワンダリングを心理的問題への介入の可能性として捉えることを示唆しています。

今後は刻一刻と移ろうマインドワンダリングのダイナミクス(刻々変化する様相)と感情状態との因果関係をさらに突き詰め、抑うつや不安症状の予防・改善につながる具体的な心理支援プログラムの開発につなげたいと意気込んでいます。