しかし、その一方で問題点もあります。
ぼんやり考えることで集中力が落ちてしまったり、知らないうちにネガティブなことを考えてしまったりすることもあるのです。
特に、自分では意識していないのに、過去の失敗や未来の不安などを考えてしまい、気づいたときには気分が落ち込んでいるという経験をしたことがある方は多いかもしれません。
実際にこうした「意図しないぼんやり思考」は、不安感や憂うつな気分を引き起こすこととも関連していることがわかっています。
つまり、同じ「ぼんやりとした思考」でも、良い影響を与えることもあれば、心の負担になることもあるのです。
ところが、これまでの研究では、その「良いぼんやり」と「悪いぼんやり」の境界線はよく分かっていませんでした。
「ぼんやり考える」という現象そのものが複雑で、何がその違いを生むのかを理解する必要があったのです。
そこで研究者が注目したのが、「考えごとの始まり方」と「考えの内容」です。
考えごとの始まり方というのは、「自分から意識的に考えはじめる場合」と、「いつの間にか勝手に考えが浮かんでしまう場合」の2種類があります。
考える内容についても、「楽しいことか嫌なことか」、「過去のことか未来のことか」、「具体的かぼんやりとしているか」といったさまざまな特徴があります。
これまでの研究によると、自分から意識的に考えるとき(例えば、楽しみにしている旅行の計画を立てること)は、未来についてポジティブな内容であることが多く、ストレスや不安感をむしろ弱める可能性があります。
一方で、勝手に浮かんできてしまう考えごとは、過去の失敗や嫌なことなどネガティブな内容が多く、不安や抑うつの気持ちを強める可能性があることがわかっています。
また、私たちが気づかないうちに陥ってしまいやすい悪循環に、「過去をくよくよ考えること」と「未来を心配すること」があります。
専門的には、過去のことを何度も繰り返し考えることを『反すう』、未来に関して過度に不安を感じてしまうことを『心配』と呼んでいます。