そこで研究チームは今回、マインドワンダリングの「意図の有無」と「内容の特徴」に着目し、それぞれが心の健康にどう影響するかを詳しく調べました。

実験では大学生を対象に、数字を見てキーを押すという単純な課題を行わせながら、途中で被験者の思考内容を何度も問いかけました。

被験者が考えていた内容が「意図的」か「非意図的」か、さらに「ポジティブかネガティブか」「過去か未来か」「具体的か曖昧か」といった分類をもとに、その思考がどのように心に影響するかを解析。

すると、心の不調に関係するのは「意図的な思考」ではなく、無意識に入り込んでくる非意図的なマインドワンダリングであることが明らかになりました。

しかもその内容が、ネガティブで、未来志向で、曖昧なものであればあるほど、心に悪影響を及ぼす可能性が高くなるのです。

「反すう」と「心配」の連鎖が「不安・抑うつ」を深める

さらにチームは、マインドワンダリングが直接的に心の病を引き起こすわけではなく、ある“思考の癖”を通じて悪影響を及ぼすことを突き止めました。

その思考の癖とは、「反すう(Rumination)」「心配(Worry)」です。

反すうとは過去の後悔を何度も思い返してしまう傾向で、心配とはまだ起きていない未来の出来事に対して過剰に備えようとする考え方です。

どちらも自己否定的な思考に陥りやすく、不安や抑うつと深く関係しています。

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Credit: canva

チームは「マインドワンダリング → 反すうや心配 → 不安や抑うつ」という因果の連鎖モデルを構築し、解析を行いました。

その結果、非意図的なマインドワンダリングが「反すう」や「心配」の頻度を高め、最終的に不安や抑うつの強まりにつながるという構造が見えてきたのです。

とりわけ、未来に対するネガティブな考えが「心配」を増やし、そこから不安症状へと発展するルートが強く確認されました。

一方で、過去の後悔を繰り返す「反すう」は、直接的に不安や抑うつを引き起こす力が弱いこともわかりました。