これにより、心臓病や高血圧などの疾患リスクが抑えられ、結果として死亡率の低下につながっていると考えられます。

また、空気の清浄さも大きな要因です。

沿岸部は内陸に比べてPM2.5(微小粒子状物質)や煙害の発生が少なく、総じて大気環境が良好でした。

これは呼吸器系や心血管系の健康維持に直結します。

さらには運動やレクリエーションの機会にも差があります。

海岸地域では散歩やジョギング、釣りや海遊びといったアクティブな活動がしやすく、身体活動量の増加やストレス緩和が期待されます。

こうした活動はメンタルヘルスの改善にも寄与し、長寿に貢献する要因となります。

これらの恩恵に加えて、所得水準や医療アクセスの良さ、地形の平坦さによる交通の利便性など、複数の社会的・物理的環境が複合的に働いていることが、解析モデルからも示されました。

都市部の川や湖の近くでは、逆に寿命が縮む?

では、同じ「水辺」であるにもかかわらず、内陸(特に都市部)の川や湖の近くに住む人々はなぜ寿命が短くなる傾向にあるのでしょうか?

まず、気温の極端さがその一因です。

都市部の内陸水域近くでは、猛暑日の発生数が海沿いの10倍近くにもなり、気温のピークが寿命に悪影響を及ぼしていると考えられます。

さらに空気の汚れも問題です。

調査では、内陸の川や湖の周辺はPM2.5濃度が高く、煙害のある日も多いことが明らかになりました。

これが心臓病や呼吸器疾患、さらにはうつ病などにも影響している可能性があります。

また、洪水リスクや地形の険しさも見逃せません。

特に都市部では排水インフラが整っていない地域も多く、洪水や大雨によるストレスや衛生リスクが重なり、生活の質が損なわれているとみられます。

興味深いのは、農村部の水辺ではこの傾向が逆転することです。

内陸の自然豊かな川辺や湖畔に住む農村の住民は、むしろ寿命が延びる傾向を示していました。