サンマは光に敏感で、光を利用した漁も行われています。棒受網漁といい、サンマの持つ光に走っていく性質、「正の走光性」を活用したものです。

まず、船からサンマの魚群に向けてライトを照らします。魚群がいるのとは反対側に網を構えておいて、光の方向を徐々に網の方へ移動していきます。

そうすると魚群が網にまとめて入る──というわけです。光を当てたサンマは興奮して、上記の通り飛び跳ねるそうですよ。

『サンマ』を水族館であまり見ないワケ 胃がないからエサやりが難しい?サンマはトビウオの仲間(提供:おっしー)

なぜ水族館にいない?

このようにユニークな泳ぎ方をするサンマですが、水族館などで泳いでいる姿をあまり見かけないと思いませんか? それは、サンマは飼育するのがとても難しい魚だからなんです。

あの高速で泳ぎ回る性質やストレスに弱いところ、さらには胃がないためにエサやりが難しいことなど、様々な理由から飼育するのは難しいといいます。食卓では人気者なのに、養殖が商業的に行われていないのは、そういった背景があるんですね。

福島県いわき市にあるアクアマリンふくしまは、泳ぐサンマを観察できる数少ない施設。海の中で泳ぐサンマを観察してみたいという人は、ぜひ足を運んでみてください。本記事で紹介したふたつの泳ぎ方を目にすることができるはずです。

<おっしー/サカナトライター>