次に、体温が自然に下がるような夜の過ごし方も意識しましょう。寝る1〜2時間前にぬるめのお風呂に入って体を一時的に温めることで、その後に体温が下がりやすくなります。
就寝の少し前にお風呂に入るとよく眠れるという話はよく聞きますが、そこにはこうした体温のリズムを整える効果も関係していると考えられます。
そのため、単に眠りにつきやすくなるというだけでなく、この“体温の下降”が、リズムの正常な夜間モードを後押し、体内で起きる時差ボケも防止してくれる可能性があるのです。
そして何より、起きる時間をできるだけ毎日そろえることが、体温リズム全体を安定させる基本です。
今回の研究が示したように、「眠れているかどうか」だけではなく、「体の中のリズムが整っているかどうか」も、気分に影響している可能性があります。
体温リズムは、意識すれば生活の中で整えられる数少ない体内時計のひとつです。朝の光、夜の入浴、毎日の起床時間。どれも小さなことですが、心の調子を立て直すきっかけになるかもしれません。
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参考文献
Depression linked to ‘internal jet lag’, study finds
https://www.sydney.edu.au/news-opinion/news/2025/07/16/depression-linked-to-internal-jet-lag-study-finds.html
元論文
Evidence for Internal Misalignment of Circadian Rhythms in Youth With Emerging Mood Disorders
https://doi.org/10.1177/07487304251349408
ライター
相川 葵: 工学出身のライター。歴史やSF作品と絡めた科学の話が好き。イメージしやすい科学の解説をしていくことを目指す。