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「地球温暖化で海面が上昇すると、日本の砂浜が大きく失われる」という話は、昔はよく報道されてけれど、最近はさすがに少なくなってきた。後述するように、単なる誤情報だからだ。

それでもまだ、以下のような記事の見出しがあった。

2050年に砂浜半減も 夏のレジャー、海水浴は少数派(2025年8月3日 5:00)

全国の砂浜は地球温暖化が響き2050年には半分近くが消えるとの予測もある。・・・

それで、政府はどのような情報を出しているか調べてみた。以下は、環境省所管の国立環境研究所のホームページの図だ。

図1出典:国立環境研究所ホームページ

これを見ると、いかにも地球温暖化で砂浜の62%が失われるかのようだ。これのもう少し詳しい図は国土交通省の資料にも出ている:

図2出典:国土交通省資料

この一番左のグラフを見ると、海面上昇がゼロなら砂浜消失もゼロで、海面が上昇すると砂浜が大規模に失われる、と言う計算になっている。けれど、これは全然正しくない。

この計算はBruunルールと言う、割と簡単な式によっている。海面が上昇すると、それに応じて砂浜が水没する、というもの。詳細は省くは、下図が概念図だ。

図3 Bruunルール出典:Cooper, J. A. G., & Pilkey, O. H. (2004). Sea-level rise and shoreline retreat: time to abandon the Bruun Rule. Global and Planetary Change, 43(3–4), 157–171.