過去の戦争を見ても戦時中に双方のトップが停戦の話をすることはなかったと思います。イスラエルとハマスの場合もないのですが、ハマスが停戦に合意しているのはイスラエルが圧倒的に強いからでケンカにすらならないのであります。

ではウクライナ。和平交渉をいつやるか、という点においてウクライナと欧州は即時停戦で今すぐというスタンスに対してトランプ氏ははっきりとは言わないものの戦争が継続するもやむなしの中、早く和平交渉をすべし、という感じです。多分、プーチン氏にコンビンスされたのでしょう。

個人的にはゼレンスキー氏とプーチン氏では和平交渉は成立しないとみています。双方、和平が出来るならもっと早い段階でその機運はあったと思います。この2年、戦況に目覚ましい変化があったとは思えず、ホッケーでいう殴り合いが続いている、そんな状態です。最近、私はプーチン氏はこの戦争を急いでいないのではないか、と思い始めています。ゼレンスキー氏を真綿で絞めるようなそんな感じです。あるいは豊臣秀吉が城の水攻めをしたように時間をかけてじっくり攻める、そんな戦略に見えるのです。

ではプーチン氏の戦略は何処にあるのでしょうか?ずばり、ゼレンスキー氏が辞めるのを待っているとみています。故にロシアはゼレンスキー氏が交渉相手として正しいか疑問である、と繰り返し述べているのではないでしょうか?

もしも両国間で和平交渉が進むとすれば以前にも申し上げた通り、東部ウクライナを独立させる、というどちらの案にもない新提案が切り口として考えられると見ています。ウクライナが東部を独立させるならロシアに譲歩したという意識はやや薄れるでしょう。また独立国が間に入ればロシアとの緩衝地帯にはなりえます。

なぜ独立を考えるのか、といえば残念ながら同地域の支配民族はロシア人なのであります。国家は日本など一部の国を除き、常に民族問題を抱えています。ウクライナは民族構成的に西側と東側ではかなり違うわけで今回の戦争の根本原因であります。欧州では民族問題から小国家の独立はかなりの数で起きており、これは欧州の和平を維持するには歴史的にもっとも理にかなうやり方の一つであると考えています。