ネコは時々、エサが残っているのに、ボウルの底が見えると食事をやめることがあります。
また、ネコによってはボウルを傾けてエサをこぼし、床の上から食べるものもいます。
必ずというわけではありませんが、これは世界中のネコに広く見られる行動で、その理由はまだ解明されていません。
しかし現在、最も有力なのは「ヒゲ疲れ(whisker fatigue)」という説です。
目次
- 食事をやめるのは「ヒゲ疲れ」のせい?
食事をやめるのは「ヒゲ疲れ」のせい?
感覚毛として知られるネコのヒゲは、付け根に固有受容器があり、刺激を受け取る役割を果たしています。
それぞれのヒゲは、周囲の触覚情報を電気信号をに変換して、脳に伝えるアンテナのようなものです。
ヒゲは比較的長く、左右の端から端までで胴体の幅と同じくらいの長さがあります。
壁の隙間やケースの開口部の幅はヒゲで確認されており、ネコが狭い場所にも躊躇せず入っていくのは、ヒゲがゴーサインを出しているからです。

その一方で、ヒゲの感覚受容器はとても鋭敏なため、使いすぎるとネコに疲れを起こしてしまいます。
これが「ヒゲ疲れ(ウィスカー・ファティギュ)」と呼ばれるものです。
そして、ネコがボウルの中のエサを食べているときに、ヒゲ疲れが起きていると考えられます。
しかし、それはヒゲがエサやボウルに不必要に接触するからではありません。
モノへの過剰な接触によって生じる不快感は「ウィスカー・ストレス(whisker stress)」として区別されます。
ところが、エサを食べているネコを見ていると、鼻周りの筋肉を使ってヒゲを引っ込め、エサやボウルに当たらないようにしています。
この状態を維持することで筋肉に疲労が生じ、それがヒゲ疲れとなるのです。

昨年、ワシントン州立大学(米)が、科学的に初めてヒゲ疲れを検証した研究を発表しました。