高効率で水素を生成できる「PEM型」を採用
グリーン水素の製造は、具体的にどのような技術によって実現するのか。
「一般的には、再生可能エネルギーを活用して水を電気分解することで製造されます(再エネ由来で新たな化石燃料を使わないため、製造工程でもCO2が発生しない)。今回、山梨県はじめ技術開発参画企業10社で取り組むP2Gシステムにおいては、主に県内の再エネ電力と、『天然水の森』で涵養した地下水から、『サントリーグリーン水素』として製造します。液体水ではなく膜に浸透した水分子を分解することで、高効率で水素を生成できる『PEM型』を採用します」
グリーン水素の販売先としては、どのような顧客を想定しているのか。
「これから検討していきますが、山梨県内産業での地産地消や、小口需要家等これまで水素の利用対象となっていなかった産業や個人等の観点で新たな需要を開拓していきたいと考えています。水素活用に積極的な東京都への供給も検討中です」
事業の立ちあげ、継続にあたっては、どのような点が課題・カギになってくるのか。
「柔軟なサプライチェーンの構築や、販売にあたりいかに価値を感じていただけるかという需要喚起を課題として考えています。安全確保も大前提となるので、関連法規・届出を遵守のうえ体制・設備含めて今後の事業化において議論していきます」
販売初年度の売上、販売量などの計画については次のように説明する。
「今回ビジョンとして発表しましたが、今年の秋にまずはP2Gを無事稼働させ、実際の水素製造量を長期的に評価の上、販売開始時の市場価格動向なども見ながら供給していきます。そのため、2027年時点での具体的な売り上げや供給量を現段階で答えるのは、時期尚早と考えています」
(文=BUSINESS JOURNAL編集部)