●この記事のポイント ・超高齢社会に突入で新たな移動手段として注目されているのが「電動車いす」 ・厚生労働省がGPSを搭載した電動車いすを介護保険の給付対象に加える方針を決定 ・ユーザー自身が操作できる「自操式」と、自らの操作が難しく介助者が後ろから操作する「介助式」

 団塊世代が75歳以上となり、日本はいよいよ本格的な超高齢社会に突入した。認知機能が低下した高齢運転者に免許返納を促す動きはさらに加速しそうな中、新たな移動手段として注目されているのが「電動車いす」だ。

 そもそも電動車いすは電動式のバッテリーによってモーターで動く車いすのことで、ジョイスティックやボタンで簡単に操作できるのが特徴。基本的には障害や高齢などによって歩行が困難な人の移動をサポートすることを目的としている。よく「シニアカー」と混同されがちだが、シニアカーはハンドルで操作する点が大きく違う。交通ルールはどちらも歩行者と同じ扱いで、歩道や横断歩道を通行し、歩行者用信号に従う。そしてどちらも要介護認定などの条件を満たせば介護保険制度が適用され、レンタルも可能だ。

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2026年にはGPSを搭載した電動車イスを介護保険の給付対象に

 現在、介護保険の給付対象となる電動車いすはおよそ300製品。要介護度2以上の人が借りた場合に限り、介護保険の適用を受けることができる。保険適用されれば、原則1割の自己負担でレンタル利用が可能。自己負担額は所得に応じて1〜3割となり、負担額は月2,000円程度(1割の場合)からとなる。

 さらに最近は厚生労働省が全地球測位システム(GPS)を搭載した電動車イスを介護保険の給付対象に加える方針を決定したことも話題に。実はこれまでの介護保険制度では、福祉用具の本体部分と通信機能部分が物理的に分離できない場合、本体部分も含めて介護保険の給付対象とならなかったのだ。それに該当するのがまさに、GPSの搭載やリモート操作ができる車椅子。まずはGPSの搭載が認められた形だが、GPS搭載製品を借りた場合、料金は数千円程度高くなる見込みだという。