確かに、転んだり、ぶつけたりすれば危険です。
でもリサのように、子どもが何かをするたびに否定や警告を繰り返してしまうと、子どもは「挑戦」そのものを避けるようになります。
バーンスタイン博士は、「このような干渉は、子どもの好奇心を萎縮させ、結果的に“自分には無理かもしれない”という自己イメージを形成する」と指摘しています。
代わりに、「そばで見守ってるよ」「困ったら言ってね」といった信頼ベースの声かけをすれば、子どもは安心してチャレンジできます。
つまり、危険を防ぎたい気持ちは大切ですが、それを“監視”で表現してしまうと、子どもの自立心を押しつぶすことになるのです。
ケース②:ジョーダン(10歳)──「習い事づくし」で奪われた自由
ジョーダンは毎日多忙です。放課後はチェス、数学塾、水泳と、1分も無駄にしないスケジュールがびっしり。
親はこうした活動を「将来の成功につながる経験」と考え、善意で与えています。
しかし、そこには「この子が自由にしていたら損をするかも」という強い不安と焦燥感があるのです。
結果、ジョーダンは自分の時間を持てず、「何が好きか」「何をしたいか」を感じる力を失ってしまいます。
自由な遊びや無目的な時間は、創造性や自立心、内省力を育むのに不可欠な要素です。
バーンスタイン博士も、「予定を詰めすぎた子どもは反抗的・無気力になりやすい」と指摘しています。
成功への道を敷くつもりが、自己決定力を削ぎ、反発する心を育ててしまうのです。
親は「コントロール」ではなく「信頼」を愛の形だと知るべき
親の不安が子供に悪影響を及ぼすケースの後半も考えてみましょう。
ケース③:エヴァ(16歳)──“信頼されない”ことの絶望

エヴァは学校のダンスパーティに行きたがっています。
しかし、父親は「絶対にダメだ」と言い、他の親に連絡を取ったり、細かすぎるルールを課したりして、エヴァの社会的体験を“事前に制御”しようとします。