これまでも猛暑日はたまにありましたが、現在は連日がひどい猛暑に見舞われています。
もちろん、これは日本だけの問題ではありません。温暖化により世界的に気温が上昇しており、夏はなるべく外に出ないというのが常識になりつつあります。
すでに危険な暑さを意識する時代になっていますが、一体人体はどのくらいの気温にまで耐えられるように出来ているのでしょうか?
米ペンシルベニア州立大学(PSU)の研究は”湿度の高い環境”では、人が耐えられる気温の上限は、これまで想定されていたよりも低いという報告を行っています。
この”湿度の高い環境”というのが重要で、それは、発汗により体温調節をする人体のシステムと深く関係しています。
よく中東やアフリカ地域の人が、「日本の夏は暑すぎる!」と話しているのを聞きますが、その理由がここに潜んでいるようです。
研究の詳細は、2022年6月28日付で科学雑誌『Applied Physiology』に掲載されています。
目次
- 発汗で体温調節できなくなる「湿球温度の限界」を調査
- 人体の耐えうる「湿球温度」は定説より低かった!
発汗で体温調節できなくなる「湿球温度の限界」を調査
ペンシルベニア州立大学の研究チームは、人が耐えられる”気温の上限”を理解するため、「湿球(しつきゅう)温度」に注目しました。
湿球温度とは、温度計の先端(感部)を水で湿らせたガーゼで包んだ状態で測定する温度のことです。
これに対して、ガーゼを用いない、いわゆる普通の状態で計ったものを「乾球温度」といいます。
両者は何が違うのでしょう?
まず熱というのは、水が蒸発するにつれて奪われていきます。
蒸発量が多いほど熱が奪われて、温度も下がっていきますが、反対に、まったく蒸発しなければ、温度はほぼ変わりません。
すると、先端を湿ったガーゼで包んだ湿球温度計では、水の蒸発によって熱が奪われていくので、必然、乾球温度よりも表示される温度が低くなります。
