思想的な相違や国益の対立で機能しなかった国連が地軸大変動に直面し、必死に解決を模索し出す。例えば、地軸の大変動で熱帯地域から極寒帯地になるアフリカ大陸の人々を救うために世界の指導者たちは英知を結集して、地軸の変動が開始する前にアフリカ国民を安全な地域に移住させようと史上最大規模の移住計画が立てられる。アフリカは多くの犠牲を払いながらも、アフリカ連邦共和国として存続していく。世界の指導者、そして宗教界ですら、“地球の地軸大変動”という事態の前に、結束して、最善の解決策を見つけるめに腐心していく、というストーリーだ。

ビックバンの大爆発で宇宙が形成されたのは今から約138億年前という。私たちが住む地球が誕生したのは約46億年前だ。その地球に人類が誕生したのは約500万年前だ。

地球物理学者によると、地球が恩恵を受けてきた太陽は50億年後、消滅するという。数年先、数十年先ではないため、その意味がピンとこないが、太陽が消滅すれば、地球に送ってきた熱エネルギー、光は数分後、消滅し、地球は暗黒の世界に取り残される。ただし、地球の寿命はあと30億年という説があるから、太陽の前に地球が消滅するかもしれない。

さて、地軸の変動についてだ。松本氏の本では異星人による地軸大変動が生じるが、地球学者によると、地軸の傾きは、約22℃~24.5℃の範囲で周期的に変化し、この変化は、約4万1千年周期で起こるという。すなわち、過去も現在も地軸は変動しているわけだ。ただ、1995年頃から地軸のブレが加速していることが観測された、という研究報告があった。その結果、世界的に海面が0.24インチ(約6ミリメートル)上昇し、生物の分布、四季の変化、気候不順などを変動が生じるわけだ。地軸変動の原因として、地震による地殻変動から地下水の取りすぎなどさまざまな説がある。

問題は、地軸が大変動し、気候が激変した場合、世界は思想や国益の相違を超えて、結束できるだろうかだ。松本氏の小説のように、世界の大国が結束して、地球レベルの危機の克服に乗り出すことができるだろうか。いずれにしても、「地軸の大変動」についてクールに考えてみることは効果的な猛暑対策となるかもしれない。