私はそういう観点よりも将来、階段が昇れなくなった時のことを考えよ、と思うのです。よって1階がリビング、ダイニング、2階に昇る階段は可能ならば曲がりくねらず、ストレートな形状で設置するのがベターです。(将来階段昇降型のリフトをつけやすいのです。)また2階にもトイレを必ず作ること。廊下の一角を広めにとり、そこに簡易冷蔵庫を置けるようにすれば水を取りにいちいち下まで降りなくても大丈夫でしょう。
私がそれ以上に狭小住宅が好きではない理由は住宅街のイメージが壊れやすいのです。たとえば世田谷区の高級住宅街を想像してみてください。一軒100坪の住宅がずらり並んでいます。前面道路も広く、外車が似合う街並みです。そこに狭小住宅が突如現れたらどうです?近隣住民は嫌がるでしょう。兵庫県芦屋市の六麓荘町では最低建築可能敷地面積を400㎡と定めたのは景観や街のバランスを考えたうえでの決定ですが、それは芦屋に限らず、どこの街にも街並みというのがあるものなのです。それを都市計画上、考慮するのは市町村や近隣の役目であり、デベはなんでも建てられるという発想は許されるわけではないと思うのです。
日本は人口減、一方で高層マンションが林立し、居住可能面積は無限に増えている中、街並み維持を考えず、業者が儲け主義に走るのはいかがかと思います。また今後は一定の戸建てには緑地化義務もありだと思うのです。戸建て居住者には街並み維持の義務を負うぐらいの意気込みは必要でしょう。京都の街並みが美しいのは伝統を守る気持ちが強いからです。それは日本のどこでも同じだと思います。
戸建てとマンション、とかく言われるのが戸建ては維持管理に金がかかる、とされますが、そんなことはないと思います。直す時には一定のお金がかかりますが、そう頻繁にある訳ではないですし、マンションのように自分が必ずしも直接的便益を受けない管理や工事に対しても管理費、修繕積立金を経由して負担しているのに比べれば安いものだと思います。