皆さんはイチゴの種や果実がどこに当たるかご存知でしょうか。

ほとんどの方は「赤い部分が果実で、表面にある粒々が種なんじゃないの?」と答えるかもしれません。

しかし、その解答は植物学的には正しくないのです。

では、本当のイチゴの種と果実はどの部分を指すのでしょう?

その答えを以下で解説していきます。

目次

  • イチゴの粒々は種ではなく果実!では赤い部分は?

イチゴの粒々は種ではなく果実!では赤い部分は?

まずは、一般的な果樹の花のつくりを見ておきましょう。

花には「おしべ」「めしべ」があり、おしべの上部には花粉を生産する「葯(やく)」という器官が、めしべの上部には花粉をくっつける「柱頭(ちゅうとう)」という器官が付いています。

この柱頭に花粉が付着して受精すると、めしべの下部の付け根にある「子房(しぼう)」が発達し、デンプンや糖分がたまって膨らみ始めます。

こうしてできるのが「果実」です。

さらに子房の中には「胚珠(はいしゅ)」があり、これが受精後に成長して「種子」となります。

花の部位の名称
花の部位の名称 / Credit: Floweraura – Parts of Flowers – Flower Anatomy 101

このように、花粉の受精後に子房が発達・成熟し、その中に種子を含む果実を「真果(しんか)」と呼びます。

真果において重要なのは「子房のみ」が成長して果実を形成する点です。

代表的な真果には、ウメやモモ、ブドウ、カキ、ミカンなどが挙げられます。

つまり通常の果物の果実に関しては、子房に注目して見てもらえばいいでしょう。

ところが、イチゴでは成長の仕方がまったく異なります

その理由はイチゴの花を見てみるとわかります。

通常の花ではめしべは1つで、おしべがたくさんありますが、イチゴの花には中心部に100本以上の小さなめしべが密集しており、その周りを少し大きなおしべが囲んでいるのです。