SEOは、検索エンジンにとっての敵?
グーグルによるAIモードの提供開始が、ネット関連企業やネット広告企業などに大きな影響をおよぼす可能性はあるのか。ギリア株式会社ファウンダー・顧問でプログラマーの清水亮氏はいう。
「グーグルの検索連動ネット広告やSEO業者は、これまでの取り組みを大きく変えざるを得ないでしょう。特に小手先のSEOは、相手がAIでは通用しなくなります。そもそもSEOは、検索エンジンにとっての敵であり、ネットの健全性を損なう手法だったため、この取り組みによってSEOが破綻することは、ネット業界全体にとって歓迎すべき事態といえます」
では、ネットサービス事業者側は、どのような対応を求められるのか。
「SEO業者はAI対応SEOを謳うでしょうが事実上不可能でしょう。ネット広告は、グーグルの方針次第ですが、より熾烈かつ精密なターゲッティングが行われるようになるでしょう」(清水氏)
従来のネット検索に変わってAI検索を行う傾向が強まることで、これまでネット関連企業が力を入れてきたSEO対策の有効性が薄れる、もしくは意味がなくなるという見方もある。
「そのような傾向になるはずです。そもそもSEOはネット業界全体にとって情報を不健全化する仕組みなので、SEOが通用しなくなるのは好ましい事態です」(清水氏)
企業は本質的な社会貢献活動を通して消費者とコミュニケーションをとるように変化
では、ネット検索に変わってAI検索を行うユーザが増えてきた場合、ネット関連企業側は自社サイトへの流入を維持するために、どのような対策を求められるのか。
「ホリスティック・マーケティングやアドボカシー・マーケティングへの移行が進むでしょう。企業が小手先の小細工ではなく、根本的に社会に貢献したり、顧客の利益を最大化(たとえそれが自社の利益を損なうことになっても)を志向するようになり、例えば顧客や社会にとって真に価値のあるオウンドメディアの運営や、本質的な社会貢献活動を通して消費者とコミュニケーションをとるように変化するはずです。
AIモードの導入は、グーグルにとって大きなリスクのある挑戦です。しかし実際問題、会話型AIによって検索トラフィックが激減している状況では、彼らがやらなければならない挑戦でもあります。グーグルがネットをどのように再設計していくのか、期待して見守りたいと思います」
(文=BUSINESS JOURNAL編集部、協力=清水亮/ギリア株式会社ファウンダー・顧問)