●この記事のポイント ・グーグルのAIモードの提供が年内に日本で開始される見通しに ・小手先のSEOは、相手がAIでは通用しなくなる ・ホリスティック・マーケティングやアドボカシー・マーケティングへの移行が進む
グーグルのAIモードの提供が年内に日本で開始される見通しとなった。従来型のキーワード検索とは異なり、OpenAIのChatGPTやパープレキシティのPerplexity AIと同様に対話型で、ユーザは短い文章などを投稿しながらAIと会話するように検索を行う。ネット検索市場で9割のシェアを誇り、検索連動型広告で巨額の収益を得るグーグルだが、AI検索の普及により表示リンクや広告へのクリック数が減少して収益が減るという見方も強い。だが、グーグルのスンダー・ピチャイCEOは7月、検索全体のクエリ数と商業的な検索クエリ数は前年同期比で増加が続いていると発言。グーグルの持ち株会社アルファベットの2025年4~6月期決算は、売上高が前年同期比14%増の964億2800万ドル(約14兆1000億円)、純利益が同19%増の281億9600万ドルとなり、増収増益が続いている。
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グーグル「世界中の検索数は増加」
従来型のネット検索によってユーザを獲得してきたネットサービス企業は、流入減という打撃を受けるという指摘がなされている。グーグルのキーワード検索で自社の情報を検索結果の上位に表示させるためにSEO(検索エンジン最適化)対策に力を入れてきた企業は、自社サイトへの流入数が大きく低下し始めているという報告も海外では相次いでいる。加えて、グーグルが昨年(2024年)にリリースした、検索結果ページの上位に概要が表示される「AI Overviews」の普及も、ユーザがリンクをクリックする機会を減少させる可能性が指摘されている。
ちなみにグーグル自身はこうした見方に反論している。ピチャイCEOは、新しいAI機能が世界中の検索数を10%以上増加させていると報告しており、グーグルは8月に公式サイト上で、世界でグーグル検索からサイトへの総クリック数は減少傾向にはないと説明している。
とはいえ、日本国内でも、昨年以降のAI検索の普及に伴い、自社サイトへのユーザの流入が減っていると感じているネットサービス事業者は少なくないのは事実だろう。そうしたなかで日本でもグーグルのAIモードの提供が始まれば、既存のネット事業者はさらなる影響を受ける可能性はあるのか。また、どのような対策を打つべきなのか。専門家の見解を交えて追ってみたい。