よってバジャウ族では、PDE10Aが甲状腺ホルモンのレベルを高めることで脾臓が大きく変化したと思われます。
ちなみに、PDE10Aの遺伝子変異はサルアン族では見られていません。

イラード氏は「バジャウ族は1000年以上も日常的に潜水を続けてきたことで、水中生活に特化した遺伝子が蓄積し、受け継がれるようになったのでしょう」と述べています。
しかし現在、バジャウ族の伝統的な生活スタイルは存亡の危機に直面しているという。
居住域での乱獲や大規模漁業の増加によって、持続的な漁が困難になっている上に、地上の社会から取り残されて、一般人と同じような権利を享受できずにいるのです。
その結果として、バジャウ族の多くが海から離れたり、若者が都会に移住するようになり、文化が衰退し始めています。
伝統的な海上生活を保護しない限り、バジャウ族はこのまま絶滅してしまうかもしれません。
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参考文献
Genetic adaptations to diving discovered in humans for the first time
https://www.joh.cam.ac.uk/genetic-adaptations-diving-discovered-humans-first-time
‘Sea nomads’ evolved abnormally large spleens to dive to unheard-of depths
https://www.zmescience.com/science/biology/sea-nomad-people-big-spleen-042432/
元論文
Physiological and Genetic Adaptations to Diving in Sea Nomads(2018)
https://www.cell.com/cell/fulltext/S0092-8674(18)30386-6