大人も子どもも、ヒーローには憧れがあります。
ヒーロー映画が公開されれば、観客はみんなヒーローの活躍に一喜一憂しますが、その一方で、ヴィラン(悪役)の人気もかなりのものです。
あまり公言していなくても、「実はヒーローよりヴィランが好き」という方は相当数いるでしょう。
しかしなぜ私たちは、呼吸をするように悪事を働き、世界を恐怖のどん底に陥れるヴィランに惹かれてしまうのでしょう?
その答えを探るべく、米ミシガン大学(University of Michigan)の心理学研究チームは、大人と子どもを含む約700名の参加者を対象に調査。
その結果、人々はヴィランを外面的に悪とみなす一方で、内面の奥底に”善なる姿”を見出す傾向にあることが示されました。
ヒーローが外面も内面も完全に善人であるのに対し、ヴィランの外面と内面のギャップに惹かれているようです。
研究の詳細は、2022年12月19日付で心理学雑誌『Cognition』に掲載されています。
目次
- ヴィランの外面と内面のギャップに萌えている?
ヴィランの外面と内面のギャップに萌えている?

今回の研究では、4歳から12歳の子ども434名とその親277名に協力してもらい、映画の中のヴィランが行う反社会的な行動に対し、心理的にどう接しているかを調査しました。
実験では、マーベル映画の『スパイダーマン』やピクサー映画『トイ・ストーリー』の主人公ウッディなどをヒーローとして、ディズニー映画『ピーター・パン』のフック船長や『リトル・マーメイド』のアースラなどをヴィランとして用いています。
各参加者にはまず、提示されたヒーローとヴィランの行為に対し、善的であるか悪的であるかを評価してもらいました。
そして行為や感情として表れる外面とは別に、内に秘めた「本当の自己」についても質問し、参加者がどう考えているかを調査。