この仮説を検証するため、研究者たちは23カ国・7万人の参加者から睡眠データを収集しました。
被験者の81%は男性、平均年齢は53歳。
それぞれの睡眠データは自宅環境で平均約500夜にわたって記録され、研究チームはその中から無呼吸の重症度を毎晩算出しました。
この研究では、診断済みかどうかを問わず、臨床の診断基準に基づいた指標で夜ごとの変動を分析し、曜日による違いを検出するという画期的なアプローチがとられました。
そしてこの結果は驚くべきものでした。
無呼吸症候群は「週末の夜に悪化しやすい」と判明
研究の結果、週末、特に土曜日の夜には、OSAの症状が平日と比べて有意に悪化していることが明らかになりました。
たとえば、土曜日の夜には、参加者が中等度~重度OSAになる確率が水曜日と比べて18%増加していたのです。
また、特定の条件下ではその増加幅がさらに大きくなりました。
- 男性:重症化リスク 21%増
- 60歳未満:重症化リスク 24%増
- 週末に45分以上寝坊する人:重症化リスク 47%増

このように、週末になるとOSAが悪化する傾向が強まる理由として、研究チームは複数の生活習慣の変化を挙げています。
たとえば、夜更かしをすると睡眠後半に現れるREM(レム)睡眠の割合が増え、この段階では無呼吸が起きやすくなります。
また、週末に寝坊をして睡眠時間が延びると、さらにREM睡眠が増加し、呼吸停止のリスクが高まります。
加えて、飲酒や喫煙といった週末にありがちな習慣も問題です。
これらは気道周囲の筋肉の緊張を低下させ、気道の閉塞を招きやすくします。
さらに、CPAP(鼻から空気を送り込む)機器を使っている人でも、週末は機器の使用を怠る傾向があり、それが無呼吸の悪化を助長する可能性があります。
こうした要因が重なり合うことで、週末にはOSAの症状が一段と深刻化しやすくなると考えられているのです。