
2004年、米海軍のパイロットたちが遭遇した、あの白いカプセル状の飛行物体「チックタック」。ペンタゴンが映像を公開したことで、現代で最も有名なUFO事件の一つとなったこの遭遇の真相をめぐり、今、新たな論争が勃発している。ジャーナリストのロス・クルサード氏が、「あれは地球外の乗り物などではなく、航空宇宙大手ロッキード・マーティン社が開発した、米軍の極秘兵器だ」と断言したのだ。
「あれはロッキード・マーティン社の技術だ」
長年、未確認航空現象(UAP)の秘密を追ってきたクルサード氏は、衝撃的な主張を展開する。「私は今や、チックタックがロッキード・マーティン社の技術であることを断言できる」と彼は言う。
さらに彼は、この物体が人間の精神力や神経を介して操作される「サイオニック兵器」である可能性や、米政府が回収した地球外テクノロジーをリバースエンジニアリング(解析・模倣)して作られた産物である可能性まで示唆した。2004年の空母ニミッツでの目撃は、単独の遭遇ではなく、数日間にわたって複数の同型機が目撃されており、これは極秘技術の先進的なテストだったのではないか、というのが彼の見立てだ。
「何世紀も前から目撃されている」地球外生命体説の反論
しかし、この「米軍製極秘兵器説」に対し、他のUFO研究者たちは真っ向から反論する。UFO研究家のマーク・クリストファー・リー氏は、チックタックが示した「音もなく飛行する推進力」「瞬間的な加速」「翼など目に見える揚力装置の欠如」といった特徴が、近代航空技術が生まれる何世紀も前から記録されている、同様の飛行物体と酷似していると指摘する。
「技術時代以前から、同種の飛行物体の目撃は記録されているのです」と彼は言う。1561年にニュルンベルクで目撃された円筒形の飛行物体や、1890年代に米国で多発した「幻の飛行船」事件などを挙げ、これらは人間の技術力を超えた、知的で非人間的な存在が長年存在してきた証拠だと主張する。
リー氏は、クルサード氏のような主張は、地球外生命体という本当の起源から大衆の目をそらすための、意図的な情報操作(ミスディレクション)ではないかと疑っている。「米軍が、この技術について知っている本当の事実から、我々の注意をそらそうとしているのでしょう。それは、おそらく地球外由来のものです」と彼は語る。
