●この記事のポイント ・BPaaSが経理業務の新たなソリューションとして注目されている ・定型的な経理業務を専門家に委託しつつ、リアルタイムでのデータ管理や法令改正への対応をクラウドで実現 ・代表的な経理業務向けBPaaSサービス3選とは
企業のデジタル化が急速に進む中、経理部門も効率化と高度化の両立を迫られている。従来の経理業務は煩雑で専門性が高く、人手不足や業務負荷の増加が課題となってきた。こうした背景から、クラウド技術とアウトソーシングを融合させた「BPaaS(Business Process as a Service)」が経理業務の新たなソリューションとして注目されている。BPaaSは、定型的な経理業務を専門家に委託しつつ、リアルタイムでのデータ管理や法令改正への対応をクラウドで実現するサービスであり、企業の経理体制の改革に貢献している。本記事では、BPaaSの仕組みと特徴を整理し、主要なサービス事例を紹介する。
●目次
BPaaSは、クラウド上で業務プロセスを提供し、ソフトウェア(SaaS)と専門家による業務代行(BPO)を組み合わせたサービス。経理分野では仕訳入力、請求書発行、支払管理、財務報告、税務申告など、専門性が高い一方で繰り返し作業の多い業務に適用される。これにより企業はノンコア業務の負担を軽減し、戦略的な業務にリソースを集中できる。
【BPaaSの主な特徴】 ・クラウド活用:データを一元管理しリアルタイム更新。法改正にも自動対応 ・専門家サポート:経理・税務のプロが業務を代行し高精度な処理を実現 ・柔軟なコスト体系:サブスクリプションや従量課金で初期投資を抑制
世界のBPaaS市場は急成長を遂げており、国内でも人手不足やDX推進の追い風を受けて導入が拡大している。
BPaaS導入のメリットと注意点
BPaaSを導入することで得られる最大のメリットは、経理業務の効率化だ。クラウド技術と専門家の代行により、従来手間のかかっていた作業時間を大幅に短縮できるだけでなく、人的ミスも削減できる。また、自社で経理システムを構築したり専門人材を採用したりするコストを抑制できるため、経費面でも貢献する。さらに、クラウド上で経理データを一元管理することで、必要な情報を迅速に把握でき、経営判断のスピードアップにもつながる。
一方で、クラウドサービスを利用するため、データの漏洩や不正アクセスなどのセキュリティリスクに十分配慮しなければならない。また、特定のBPaaSサービスに依存すると、将来的に他社サービスへの移行が難しくなるベンダーロックインの問題にも要注意だ。さらに、標準化されたサービスのため、企業独自の複雑な業務要件に対応しきれず、カスタマイズに制約が生じる場合がある点も留意する必要がある。