メルツ首相の職務に満足しているのは、CDUとCSU)の支持者のみ。しかし、同党支持者でも満足していると回答した人の割合は前週の76%から72%に4ポイント低下している。SPDの支持者では、60%と過半数が依然として首相の職務に不満を抱いている。また、AfD支持者の間では、ほぼ全員(95%)がメルツ首相の職務に不満を抱いている。

また、回答者のわずか14%が、「ドイツの経済状況の改善」を予想しており、これは前週より4ポイント減少。今年に入ってからの最低の数字だ。悪化を予想する人は逆に62%と急増している。経済状況に変化はないと予想する人は22%だ。また、CDU/CSUとSPDの現連立政権が、2029年春の議会会期終了まで続くと予想しているのは、調査対象者のわずか半数強(52%)に過ぎない。43%は連立政権が早期に崩壊すると考えている。

なお、ドイツの国民経済は3年連続、リセッション(景気後退)だ。トランプ米政権の関税政策もあって、欧州の輸出大国のドイツ産業の見通しは明るくはない。今年2月の早期総選挙では国民経済の立て直しを期待して多くのドイツ国民はメルツ氏に票を投じたが、現時点では期待外れ、といった感じが強まっているわけだ。現連立政権への失望が野党第1党のAfDへの支持率アップにつながっていることは間違いない。

参考までに、参議院選挙で「日本人ファースト」を標榜し、議席を増加した参政党の神谷宗幣代表は5日、AfDのクルパラ共同党首と国会内で会談した、というニュースが流れてきた。神谷氏は会談後、「移民が増え過ぎた町を見てほしい」とクルパラ氏からドイツに招待されたことを明らかにし、来月の訪独を検討する考えを示したという。

神谷宗幣氏Xより

神谷代表には、AfDが如何なる政党かを学習されてから訪独されることを勧めたい。例えば、AfDの思想的指導者、テューリンゲン州の代表,ビュルン・ヘッケ氏は、ホロコーストやナチス時代の罪を軽視または否定する歴史修正主義者であり、極右思想の中核にある「民族的純粋性」や「国家主義」に通じる思想の持主だ。