医師の態度は治療効果にも直結する。患者が医師を信頼できなければ、処方された薬を正しく服用しない可能性が高まる。また、症状を正直に話さなくなり、正確な診断の妨げにもなる。つまり、見た目による差別は単なる感情の問題ではなく、医療の質そのものを低下させる重大な問題なのだ。

では、患者側はどう対処すべきか。まず基本的な清潔感は保つべきだが、高価な服を着る必要はない。重要なのは「この患者は自分の健康を大切にしている」という印象を与えることだ。

また、症状を的確に伝えるためのメモを用意したり、質問事項をまとめておくことで、医師に「準備をしてきた患者」という印象を与えることができる。

医療の理想と現実のギャップは大きい。しかし、このような問題を認識し、議論することで、より公平な医療の実現に近づくことができるかも知れない。

尾藤 克之(コラムニスト・著述家)

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