数千万年前の大地に、まるで現代のアフリカの草原のような光景が広がっていた――そんな可能性を示す驚きの化石証拠がカナダで発見されました。
一般的に恐竜たちは種ごとに単独行動していたと思われがちです。
しかし英レディング大学(University of Reading)の最新研究で、異なる種の草食恐竜が「混成軍団」のような集団で移動していたことが明らかになりました。
これはアフリカのヌーやシマウマが一緒に群れを成して歩くように、肉食の天敵に対する防護策の一つと見られています。
研究の詳細は2025年7月23日付で科学雑誌『PLOS ONE』に掲載されました。
目次
- 角竜や鎧竜が混じって歩く、中には小型の肉食種も
- 草食恐竜の「混成行軍」は捕食者への対抗策か?
角竜や鎧竜が混じって歩く、中には小型の肉食種も
カナダ・アルバータ州の州立恐竜公園(Dinosaur Provincial Park)で2024年に発見された「スカイライントラックサイト(Skyline Tracksite)」は、恐竜の足跡が高密度で保存された非常に珍しい地層です。
従来この地域では、骨の化石は豊富に見つかるものの、恐竜の足跡、特に自然の形そのままの足跡は極めて稀でした。
ところが今回発見された約7600万年前の白亜紀後期の足跡群は、単一の恐竜種によるものではありませんでした。
研究チームはここで、少なくとも5頭のケラトプス科(トリケラトプスを代表とする角竜類)が並んで歩いたと考えられる足跡列を確認。
さらにその間には、三本指の鎧竜(アンキロサウルス類)の足跡や、13cmほどの小型肉食恐竜の足跡も記録されていました。
つまり、異なる種の草食恐竜(小型の肉食恐竜も含めて)たちが集まって、一緒に混じり合いながら行進していたのです。
