閃光の正体は「隕石のシャワー」しかし・・・
かつてTLPは非常に稀な現象だと考えられていた。しかし、欧州宇宙機関(ESA)によれば、現代の観測技術では、月面全体で1時間に平均8回もの閃光が起きていると推定されている。なぜ、これほど頻繁に月は光るのか。
1950年代から60年代にかけて、科学者たちがこの謎に本格的に取り組み始めると有力な説が浮上した。それは月の内部から漏れ出たガスが太陽光に照らされて輝くという「ガス噴出説」だ。実際に月面からラドンガスが放出されることは確認されており、この説を支持する科学者もいる。
しかし今日、最も有力な説明は「隕石衝突説」である。地球と違い、月には分厚く、私たちを守ってくれる大気がない。そのため、月の表面は常に隕石のシャワーに晒されているのだ。推定では、年間約33,000個ものゴルフボールサイズの隕石が、絶えず月面に降り注いでいるという。

ESAが2017年から2023年にかけて実施したプロジェクト「NELIOTA」では、この閃光を観測することで月への隕石衝突を調査。その結果、月全体では1時間に7回から12回もの隕石が衝突していると結論づけた。
それでも残る「説明のつかない光」の謎
これで謎は全て解けた、と言いたいところだが、話はそう単純ではない。隕石の衝突は、確かに多くの閃光を説明できる。しかし、報告されているすべての目撃情報を説明できるわけではないのだ。
観測された閃光の中には、隕石衝突では説明がつかない「例外」も存在する。これらの説明のつかない光は一体何なのだろうか。未知の地質活動なのか、私たちが見過ごしている大気現象なのか、それとももっと奇妙な何かなのか…。
月の謎の閃光は、そのほとんどが科学で解明されつつある一方で、今なお私たちの想像力を掻き立てる、いくつかのミステリーを隠し持っているようだ。
参考:IFLScience、ほか
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