東南アジアの古代社会は、想像以上に広く結びついていたようです。
シンガポール国立大学(NUS)の最新研究で、西暦1千年紀初頭(およそ紀元1年から1000年頃)に作られた銀貨が、バングラデシュからベトナムまでの広い範囲で出土しており、当時の交易圏が驚くほど遠くまで広がっていたことが明らかになったのです。
特に注目すべきは、直線距離で3000キロ以上離れたバングラデシュとベトナムで発見された2枚の硬貨が、同じ「鋳型(ダイ)」で作られていたという発見です。
これは古代の通貨が国境を越えて流通し、政治や経済をつなぐ重要な役割を果たしていたことを直接示す証拠となります。
研究の詳細は「Currents of currency: utilising die studies to trace Rising Sun/Srivatsa coin distribution in first-millennium AD, Southeast Asia」という論文タイトルで、学術誌『Antiquity』に掲載される予定です。
目次
- 東南アジアを結んだ古代貨幣ネットワーク
- 3000キロを超えて届いた「同じ型」の証拠
東南アジアを結んだ古代貨幣ネットワーク
研究者たちは今回、東南アジア本土各地で発見された245枚の銀貨を精密に分析。
その多くは片面に「昇る太陽(Rising Sun)」、もう片面に「シュリヴァツァ(Srivatsa)」と呼ばれるインド古来の宗教シンボルが刻まれていました。
シュリヴァツァは、古代インドの宗教・神話に登場する文様で、繁栄や幸福の象徴とされます。
仏教やヒンドゥー教の初期遺物にも見られ、宗教的・文化的なつながりを示す重要なモチーフです。

これらの銀貨は「ダイ」と呼ばれる型を使った鋳造方式で作られました。
無地の金属円盤を型に押し当て、両面に模様を刻印する技術です。