■噂が噂を呼ぶ都市伝説であり続けるのか?

 ナイト氏とバトラー氏によれば、ワシントンD.C.のシンボルを結んで描かれた矢印は「宝の地図」に他ならず、それが指し示す場所の地下こそ宝物の隠し場所であることが示されているという。

 では、いったいどんな種類の宝が眠っているのだろうか。再び同氏らによれば、それはエルサレムの神殿の丘に由来する宝物ではないかということだ。

 ナイト氏とバトラー氏はこれが単なる憶測であることを認めてはいるのだが、旧約聖書『創世記』に登場するノアの曽祖父、エノクの預言を記した『エノク書』で言及される天国への門「金の三角形」について言及するとともに、地下室は一種のポータルではないかと指摘している。

 一方、ワシントンD.C.のトンネルに詳しいジャーナリストのエリオット・カーター氏は、1885年の地図でザ・エリプス地下に下水道が通っていることを確認した。彼によると、1880年代はワシントンD.C.のインフラ構築にとって多忙な時期であり、その作業は当時のメディアによって十分に報道されていたと述べている。それらの文書を調べたカーター氏は、「ザ・エリプスの子午線石の下に秘密の部屋のようなものは何も見つからなかった」と結論づけている。

 とすれば、ザ・エリプスの地下にフリーメイソンの財宝が眠っているのというのは単なる“都市伝説”ということなのだろうか。ともあれ現状ではザ・エリプスを掘ったり、その下にある放棄された下水道を探索したりすることは違法である。残念ながら確かめる術がない以上、今後もしばらくは噂が噂を呼ぶ都市伝説であり続けるのだろうか。

参考:「Mysterious Universe」、ほか

 

※当記事は2019年の記事を再編集して掲載しています。

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