カナダのウェスタン大学(Western University)で行われた研究によって、映像として映し出された自然の中をぼんやりと「たった10分」歩くだけの時間が、脳の集中力を劇的に回復させることが示されました。
ポイントは、余計な作業やタスクを行わず、「自然に身をまかせてぼーっと過ごす」ことにあります。
なぜ“何もしない”時間が、私たちの脳にこれほど大きな効果をもたらすのでしょうか?
研究内容の詳細は『Environment and Behavior』にて発表されました。
目次
- 集中力を奪う“常時オン社会”
- 架空の森で過ごすたった10分の「ぼーっと時間」が効く
- 自然の中で何もしない時間は最高のご褒美
集中力を奪う“常時オン社会”

皆さんも経験があるように、人間の集中力には限りがあり、使い続けると次第に低下していきます。
長時間勉強した後にボーッとしたり、注意が散漫になるのは、脳の「集中する力」が疲れて弱くなっているからです。
この現象は、心理学では「選択的注意疲労(ディレクテッド・アテンション・ファティーグ)」と呼ばれています。
これは、脳がたくさんの情報を処理しすぎて、まるでオーバーヒートしたような状態です。
私たちの脳は使い続けると集中力が落ちるため、定期的に休憩してリセットする必要があります。
ところが近年では、私たちは「脳を休ませる暇」すらなくなってきています。
昔は、バスを待っているときや列に並んでいるときなど、何もせず退屈な時間が日常にありました。
そうした“暇な時間”は、脳がスイッチオフできる大切なタイミングだったのです。
しかし今は、スマートフォンなどの影響で退屈を感じることが少なくなりました。
通知やSNSなどの刺激的な情報が常に流れてきて、脳を休ませるすき間がなくなっているのです。
このように脳がずっとオンの状態では、注意力を回復することができず、やがて「注意力疲れ」が慢性的に起こってしまいます。