では、そんな相手に何と言ってあげるべきでしょうか。

ADHDの人に伝えるべき言葉

Conner博士が提案する一言は、“I love how your brain works.”(あなたの脳の働きが大好き)です。

これは単なる「賢いね」や「面白いね」という褒め言葉とは違い、ADHDの特性そのものを肯定するメッセージです。

本人が欠陥だと思い込んでいる脳の働きを、そのまま魅力として認めることに意味があります。

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「あなたの考え方が好き」「素晴らしい発想力だ」という言葉をかけるべき / Credit:Canva

似た表現には「あなたの考え方が好き」や「その発想力が素晴らしい」、「あなたの視点は他の人が思いつかない」などがあります。

このメッセージが有効な理由は、心理学的に「自己スキーマ(自分に関する認知の枠組み)」を書き換える効果があるからです。

多くのADHD当事者は「自分の脳は欠陥品だ」というスキーマを持ちますが、この言葉はその中核に直接ポジティブな情報を刻み込みます。

自分の脳がただ許容されているのではなく、愛されていると知ることで、「恥」の感情から解放されるのです。

その結果、安心感を与え、挑戦や創造的活動への意欲を高めます。

そしてこのような言葉は、ADHDの人との関係を前進させるのに役立ちます。

パートナー、親子、友人としての絆が深まっていくのです。

とはいえ、言葉をかけるタイミングを見極めることは非常に重要です。

タイミングと伝え方

「「あなたの考え方が好き」「その発想力が素晴らしい」といった誉め言葉をかける際、タイミングを見決めるべきです。

ミスや失敗の直後には避けたほうがよいでしょう。

その場合は慰めやフォローの言葉に聞こえ、効果が薄れます。

ベストなタイミングは、独自の視点で問題を解決したときや、他の人が気づかない点に気づいたとき、自然にユニークさを発揮しているときです。

伝えるときは、具体的な事例を添えて「さっきのアイデア、本当にユニークだった。私には思いつかない」と言うと良いでしょう。