■富士山の頂上で110番したらどこに繋がる?

まずは、前提となる「富士山の頂上には県境が存在しないのか」という点を確認すべく、測量行政を司る「国土地理院」に、富士山の山頂事情について話を聞いてみる。

その結果、同院の担当者からは「通常、そうした県境は各都道府県、自治体の協議によって決められます。富士山の山頂に関しては山梨県と静岡県の協議が必要ですが、山頂にかかるエリアに関しては『境界未定』となっております」との回答が得られた。

富士山の頂上
(画像=『Sirabee』より引用)

続いては、富士山の山頂から110番をした際、「何県の警察署に繋がるのか」という点をめぐり、総務省に話を聞いてみる。

すると、富士山の山頂では「(0)55」の市外局番が使用されており、これは山梨県甲斐市などの番号であると判明。静岡県の一部エリアでも、使用されているようだ。

110番をかける際の仕組みについて、総務省の担当者は「固定電話からかけた場合、市内局番の番号区画・住所に基づいた最寄りの警察(センター)に繋がります」と、説明する。

続けて「ただし、携帯電話やスマートフォンからかけた場合、GPSによる位置情報に基づいた最寄りの警察に繋がります」とも補足していた。

調べれば調べるほど、謎が深まるばかりである…。

■山梨県警と静岡県警、ノリノリである

富士山の頂上
(画像=『Sirabee』より引用)

続いては、山梨、静岡の両県警に話題となったポストの内容を確認してもらい、質問を投げかけることに。あまりにふざけた話題のため、最悪逮捕されるケースも覚悟していたのだが…なんと、両県警とも取材を快諾。

ある担当者からは「私にとっても発見があり、改めて勉強になりました」という感謝の言葉まで得られた。それにしてもこの県警、ノリノリである。

結論から言うと、両県警の担当者から「富士山の頂上で発生した事件の担当県警については決まっておらず、両県警の協議により決定します。場合によっては、合同で捜査する場合もあります」との回答が得られたのだ。

つまり、富士山の頂上は「県境が決まっていない」だけでなく、「事件が発生した場合の担当県警も決まっていない」という事実が明らかになった。

なお、富士山の山頂で起こった事件の対応に当たった過去の実績を確認したところ、山梨県警は1989年(平成元年)、静岡県警は2004年(平成16年)以降、ゼロであると判明。

「その前年には対応に当たったのか」と勘ぐりたくなるが、これはあくまで「現存するデータ」に基づいた回答である。そのため、直近(残っている最も古いデータ上)では富士山の頂上で警察が捜査に当たるような事件は発生していないのだ。

富士山の頂上
(画像=『Sirabee』より引用)

我が国を象徴する富士山の平和は、頼もしい2つの県警によって守られている。次に富士山を目にした際は、富士山と両県警に向かって敬礼をしよう。