校則を巡る対立の根底には、学校教育の目的に対する認識の違いがあります。教員の中には、校則を「生徒を管理するためのツール」と捉える人がいます。一方で、保護者は校則を「子どもの成長を支援するための教育的手段」であってほしいと願っています。

例えば、髪型の規制について考えてみましょう。管理の視点からは「統一された髪型は集団の秩序を保つ」となりますが、教育の視点からは「多様な髪型を認めることで個性や創造性を育む」という考え方もできます。どちらが正しいかは一概には言えませんが、重要なのは、その校則がどのような教育効果を目指しているのかを明確にすることです。

実際の学校現場では、教員も校則に対して複雑な思いを抱いています。個人的には「この校則は理不尽だ」と感じながらも、組織の一員として従わざるを得ない状況にある教員は多いのです。

教員も保護者も、心から「子どものために」と思って行動しています。その共通の思いがあるからこそ、校則についても建設的な対話が可能なはずです。対立から協働へ、そして子どもたちが本当に必要とする教育環境の実現に向けて、今こそ一歩を踏み出す時なのです。

尾藤 克之(コラムニスト・著述家)

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