建造には20〜25年、もしくはそれ以上かかる見込みです。
旅の最終段階では、中央コアに格納されたシャトルが活躍します。
到着後、乗員を地表に降ろし、プロキシマ・ケンタウリbでの新生活を始めます。
名前の「クリサリス(蛹)」は、世代を超えて人々を守り、新しい世界で羽化するという意味を込めています。
船内で生まれ、学び、働く――多世代社会の設計図
クリサリスが目指すのは“閉じた生態系と社会システムを丸ごと運ぶ”ことです。
最内層は食料生産に特化し、作物や菌類、微生物、昆虫、家畜までを統合管理する“アグリ・バイオ層”。
熱帯林や針葉樹林など多様なバイオームを維持して生物多様性を守り、栄養循環を安定させます。
その外側には、公園・学校・病院・図書館などのコミュニティ施設がまとまり、さらに外層に家庭の居住区が並びます。
居住区は空気循環や熱交換の仕組みを整え、快適性とエネルギー効率を両立します。
次の層には産業基盤が入ります。
リサイクル、製薬、構造物製造などの工業機能をまとめ、消費と補修・更新を船内で完結できるようにします。
最外層は巨大な倉庫で、資源・材料・装備・機械を保管。ロボットを多用して稼働させる想定で、人間の肉体労働負荷を軽減します。
この“多層オペレーティング・モデル”によって、食料・教育・医療・産業・物流といった都市の機能を宇宙空間に丸ごと移植するわけです。

人口設計も核心です。
限られた資源で世代を超えて暮らすには、数を最適に保つ必要があります。
クリサリスの収容上限は2400人ですが、持続可能な運用人口は約1500人と見積もられ、出生は計画的に管理されます。
社会の統治は人間と人工知能の協働で実施し、長期運用に不可欠な“知識の継承”と“全体最適の意思決定”を支えます。
世代が交代しても、教育と訓練、運用基準、記録の更新が滞らない仕組みづくりが重視されます。