ロズウェル事件もう一つのミステリー、“匿名の看護師ナオミ・セルフ”をめぐる70年間の謎の画像1
(画像=イメージ画像 Created with AI image generation (OpenAI))

「ロズウェル」――その名は今や、空飛ぶ円盤の伝説と固く結びついている。数ある逸話の中でも、ひときわ不気味な謎を放っているのが、ロズウェルの陸軍病院でエイリアンの死体を解剖したとされる「匿名の看護師」の物語だ。

 この話は、1989年に葬儀屋のグレン・デニスが重い口を開いたことで、世界に知られることとなった。彼は、怯えきった様子の看護師から、3体の「小さな遺体」の検死に立ち会ったという、衝撃的な告白を聞いたと証言したのである。

葬儀屋が聞いた、戦慄の告白

 物語の舞台は1947年夏、ニューメキシコ州ロズウェル近郊。ある牧場主が謎の金属片を発見し、「UFO墜落か」と世間が騒然とする中、軍は「気象観測用の気球だった」と早々に発表した。しかし、その裏で、異様な出来事が進行していたとデニスは語る。

 当時、軍と契約していた葬儀屋の彼のもとに、基地から奇妙な電話が相次いだという。一つは「子供サイズの棺」の大きさを執拗に尋ねる問い合わせ。そしてもう一つが、パニック状態の看護師からの電話だった。「絶対に私の名前は明かさないで」と懇願する彼女は、デニスに信じがたい光景を語った。

 彼女が立ち会ったという検死台の上には、3体の小さな遺体が横たわっていた。灰色がかった皮膚、体に不釣り合いなほど長い手足、そして巨大な頭蓋骨。何よりも彼女を恐怖に陥れたのは、部屋に充満する強烈で鼻を突くような異臭だった。その臭いはあまりにひどく、スタッフは解剖を中断し、遺体を別の冷蔵室へ移さざるを得なかったという。

“消えた看護師”ナオミ・セルフの謎

 この話が真実であるか否かを揺るがす最大の謎は、この看護師の正体だ。彼女の匿名性が様々な憶測を呼んだ。

 グレン・デニスは当初、彼女の名前を「ナオミ・セルフ」と明かしたが、後に「ナオミ・マリア・セルフ」、さらには「ナオミ・サイプス」へと二転三転させた。しかし、1947年当時の軍の記録には、そのような人物は一人も存在しなかった。追い詰められたデニスは、最終的に「情報源を保護するために偽名を使った」と認めている。

 1997年の米空軍の報告書では、デニスが「1956年に起きた航空機事故の記憶と混同しているのではないか」という見解が示された。この事故では、ひどく焼けただれた子供たちの遺体が一時的に基地の遺体安置所に保管されていたという。

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