こうした判断は、子育てや生活をともにする上で不利益を避けるために、人類が進化の過程で獲得してきた心理的メカニズムの一部と考えられています。
研究チームは、15の独立サンプルを使い、世界各地の成人にオンラインで調査を行いました。
参加者には、架空の「恋愛候補者」の性的履歴を示す画像(棒グラフのような視覚図)を見せ、その人と「長期的でコミットした関係(long-term committed relationship)を築きたいと思うか」を9段階で評価してもらいました。
この「長期的関係」とは、結婚を明示したものではありませんが、少なくとも一時的な交際ではなく、結婚を前提にした本命のパートナー関係を想定しています
評価された架空の相手は3パターンあり、それぞれ過去のパートナー数が「4人」「12人」「36人」と設定されています。加えて、性的関係が「時間とともに増えている」「均一」「減ってきている」という、頻度の“分布パターン”も操作されていました。
つまり、「どれくらいの人数」と「どんなタイミングで関係を持ったか」が評価にどう影響するかを精密に測定したのです。
実は男女差がない恋人の選び方

結論から言えば、「過去のパートナー数が多いほど、長期的関係への意欲は下がる」傾向が明確に確認されました。
4人→12人→36人と増えるごとに、「この人と付き合いたい」という気持ちが段階的に減っていきます。特に、4人から12人への増加で評価が大きく下がり、12人から36人ではやや緩やかな下がり方でした。
つまり、「多すぎる経験」は多くの人にとってリスクのサインとして受け止められていることがわかります。
タイミングによって印象が変わる
さらに興味深いのは、「いつ関係を持ったか」も評価に影響したという点です。
たとえば同じ12人の経験があっても、それが若い頃に集中し、その後は落ち着いている人は、比較的好意的に評価されました。反対に、最近になって急激に関係が増えている人は「今もまだ落ち着いていない」と見なされ、評価が低くなる傾向が見られました。